3.18 夢と希望をもって!
- 公開日
- 2016/03/18
- 更新日
- 2016/03/18
校長室
第69回卒業式が行われました。卒業証書を一人一人に手渡ししている時、卒業生のみなさんの真剣な瞳の中に温かさを感じました。卒業生への励ましのことばを載せます。
巣立ちゆく65名の卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。心からお祝い申し上げます。
さて、みなさんの胸には数多くの思い出が、頭の中をかけめぐっていることでしょう。また、中学校生活への夢が大きく膨らんできていることと思います。
6年前、夢と希望を胸に、この丹陽小学校に入学しました。雨の日も風の日も、夏の暑さや冬の寒さにも負けず学校に通い、勉強や運動に励みました。特に最後の1年は、学校の中心となり、温か味のある丹陽小学校を築くことができました。4月には、入学したばかりで不安な気持ちの一年生を、笑顔で寄り添い、清掃していた姿は心が和みました。5月の運動会では、体を力一杯使い表現した組立体操や元気ある応援、責任を持って取り組んだ係活動など多くの場面での活躍は、たくましさを感じました。10月の修学旅行では、礼儀正しくマナーを守り、京都・奈良の歴史や文化に触れ、見聞を深めました。特に、旅館での宴は、見ている人も演技をしている人も笑顔になり、楽しいひと時を過ごすことができました。11月の学習発表会では、戦後70年をみんなで平和について考え、戦争の恐ろしさを訴えました。その内容は素晴らしいもので、みんなの心が一つになり、見に来ていただいた方々に感動を与えました。さらに、各部活動の大会では、仲間を信じ、最後まで諦めない粘り強い心を育てました。
このようにみなさんは、「笑顔・元気・心をこめて」を合言葉に、学校を盛り上げ、心身ともにたくましく成長しました。こうして成長できたのも、今日までお父さん、お母さん、ご家族の方、地域の方や先生、そして、友だちなど多くの方々の支えがあったからです。そうした方々に「ありがとう」の感謝の気持ちを忘れず、これから出会う人たちと、温かい人間関係を築いてほしいと思います。そんなすばらしいみなさんも、4月からは中学生です。
そこで、みなさんに「夢と希望をもつことの大切さ」についてお話をします。
ある新聞でこんな記事を目にしました。明後日、甲子園球場で開幕する選抜高校野球大会の21世紀枠で出場する東北地方の高等学校の話です。岩手県立釜石高等学校の野球部員は、東日本大震災で家族を亡くしたり、自宅を津波で流されたりしました。しかし、選手たちは周りの人たちに支えられ、夢と希望を持ち野球ができる喜びをかみしめて、甲子園出場をめざして練習に励みました。そして、実力は全国の強豪校には及ばないかもしれませんが、見事に夢の甲子園出場の切符を得たのです。
エースの岩間くんは、小学校の卒業を控えた5年前のあの日の朝、母に「行ってきます」と声をかけたのが最後となってしまいました。母は今でも行方不明です。小学校1年生で始めた野球。いつも、応援席から響く母の声は誰よりも大きく、選手の間でも話題になるほどでした。そんなことを思い出すたびに涙が目に浮かぶそうです。母に全力でプレーし、野球を楽しんでいる姿を見せたい。そんな自分の姿をどこかで見て、喜んでくれると思う。そんな思いを背負ってマウンドに立つのです。
また、5年前、中学校の卒業式を終えて帰宅した直後、強い揺れに見舞われ、自宅は津波で全壊しました。不安をもって避難生活を始めたときに、消防士や地元の人、高齢の女性から優しく声をかけてもらいました。今度は自分がこの人たち、この町を守る側になりたいと強く希望し、地元の町のために消防士になるという夢を持ちました。そして、夢が叶い、立派に消防士になったのです
5年たった今でも、東日本大震災でご苦労されている方々は多くみえます。しかし、夢を追い、亡き家族や支援者を思い、希望をもって取り組んできたことが実を結んでいるのです。
先日、みなさが将来の夢について書いた学校新聞を読みました。未来につながる立派な夢です。これからみなさんは、希望を胸にいろいろなことを体験したり、経験したりすることでしょう。中には、上手くいかないこともあるでしょう。そんな時、諦めることなく、丹陽小学校で学んだ「笑顔・元気・心をこめて」を思い出し、夢と希望をもって生活してほしいと思います。みなさんの輝ける未来に幸多からんことをお祈りします。
卒業式には、多くの保護者の方々やご来賓の方々にお越しいただき、ありがとうございました。皆様のお陰をもちまして、卒業式を無事に行うことができました。職員一同、感謝申し上げます。