学校日記

5月7日(水) 本当の意味を見いだす(学校集会より)

公開日
2025/05/08
更新日
2025/05/08

校長室より

学校集会で次のように生徒に話をしました。


 私は中学1年生でテニス部に所属をした。入部をすると、1面しかないコートは先輩たちであふれかえっていた。先輩には「1年生はコート整備と球拾いをすること。球拾いやコート整備を頑張ると、試合の時にテニスの神様は味方をしてくれる。」と言われた。次の日から、練習中はコートに入ることなくボールを拾い、練習前後のボールの数を確認した。1個でも足りないと1年生みんなで草をかき分けてさがしまわった。そして、練習前と終わった後にコート整備をし、へとへとになる毎日が続いた。先輩が優先だということは分かっていても、ラケットも握らせてもらえない日々が嫌になることもあった。

 ところが、一生懸命にボールを拾い、ボールの数を数えて空気圧を調整し、ボールの汚れをきれいに拭き取ったり、コートの穴を埋め、平らにならしたりしていると、ボールやコートに愛着が湧いてきた。すると、ボールやコートをより丁寧に扱うようになり、たまにコートに入って打たせてもらえる時も、より集中して練習できるようになったのである。先輩が言っていた「テニスの神様が味方をしてくれる」という言葉の本当の意味は、道具やコートの整備をすることで、競技やプレーに対する自分自身の姿勢が変わることなのだと思った。

 これはテニスだけではなく、大人になってからの人生でも生かされている。「自分が扱うものを大切にし、身を置く環境をきれいに整える」この「人生のコート整備」が、自分の意識を高め、仕事などに対する向き合い方を変えてくれるのである。そんな大切なことを教えてくれたのは、中学校の部活動での、最初は嫌だと思った球拾いとコート整備だったのである。

 部活動に限らず、私たちが何かを行う際には、自分の思い通りにならないことがあったり、辛い思いをしたり、人間関係で苦労したりすることがある。しかし、それらの中にも学ぶことはたくさんあるのだと思う。部活動も学習も学校生活も、楽しいことばかりではないが、何事にも一生懸命取り組むことで、本当の意味を見いだし、大切な何かをつかんでほしいと思う。