5月11日 「思いやりボックス」
- 公開日
- 2018/05/11
- 更新日
- 2018/05/11
人権教育・いじめ対策
連休の中日に、残念な出来事がありました。カラスのしわざでしょうか、校舎北側に作ってあったツバメの巣が地面に落ちていたのです。空を見ると、親鳥でしょうか、2羽のツバメが、巣をのぞき込むように、何回も何回も上空を旋回していました。ツバメの鳴き声が、泣き声にも聞こえてくるようでした。
数日して、ふと、校舎管理棟南側の2階にある玄関に目をやると、なんと、玄関のひさしの角にツバメが営巣を始めているのです。2羽のツバメが、せっせせっせと巣の素材であろう木くずやわらの切れ端を口でくわえてはいく百回もいく千回も飛んで来ては、少しずつ巣を造っていきます。
1週間も経つころには、巣の形状をなしてきました。ところが困ったことに、ツバメが巣を造る下には、ツバメの落としていくフンや木っ端が無数に落ちるのです。そこで、巣作りの下に喫煙ボックスを設置したのですが、玄関の真横に赤色のガンガンということで、来客の目についてしまいます。
どうしたものかと思案に暮れていた矢先、6年生がすてきなイラストを描いてきてくれました。タイトルは「思いやりボックス」。見ると、縦20センチ、横1メートルほどの画用紙に、「思いやりボックス」というタイトルとツバメの絵をきれいに描いてきてくれたのです。これには、学校探検に来た1年生も大喜びです。「やっぱり6年生ってすごいね!」「絵がかわいいね。」と「思いやりボックス」のタイトルに小さな感動を覚えたようです。
「親の愛情は海よりも深し」と言います。今、玄関でせっせと来年のために巣作りに励む2羽のツバメは、もしかしたら、連休の前半に校舎の北側にある巣を落とされてしまった親スズメかもしれません。だとすれば、ヒナにかえる前の卵を落とされてしまった悲しみにくれながらも、それでも前を向いて、来季のために、夫婦ツバメが力を合わせて巣を造っているのかと思うと、胸が熱くなる思いがします。
そして何よりも、そうしたツバメの生きる姿に触れ、本校の児童の中に、小さな生き物の大切な命を慈しむ思いが育っていることがなによりうれしいと思います。