12月23日(火) 無用の用(2学期終業式 式辞より)
- 公開日
- 2025/12/23
- 更新日
- 2025/12/23
校長室より
2学期終業式の式辞で、以下のように生徒に話しました。
今年は2人の日本人がノーベル賞を受賞した。その受賞者の一人である京都大学の北川進教授の座右の銘は「無用の用」だそうだ。これは昔の中国の思想家の言葉で「一見役に立たないと思えるようなものも、実は大切な働きをしている」という意味である。
北川教授も、あまり反応性もない材料を研究し、実験で出てくる出来損ないのような物質も調べることで、新たな可能性を見出していった。「無用と思われた材料に役割を見出せた。誰も関心を持たないところに『宝』があった」と北川教授自身も述べている。
私は、この「無用の用」という考え方は、コスパ・タイパで無駄を削って効率ばかりを気にする現代社会への警鐘ではないかと思う。少しやっただけで「面倒くさい」「意味がない」と決めつけてやめてしまったり、すぐに結果が出そうなことだけをやったり…。自分の生活の中でも思い当たることがあるのではないだろうか。日常の中での様々な人との出会いや体験、今一つ興味がもてない勉強や面倒くさい作業なども、「そこに何か大切なものがあるのではないか」と考えることで、プラスの時間や価値に変換できるのだということを、北川教授は教えてくれたのだと思う。