3月2日(水)3年生修了式 校長先生のお話
- 公開日
- 2022/03/02
- 更新日
- 2022/03/02
校長室
本日、3年生の修了式が行われ、校長先生のお話がありましたので、お話の中の一部を紹介します。
<校長先生のお話の一部>
(前半部分略)
作家の伊集院静さんが、成人の日や新社会人の入社の日に新聞広告に寄せた若者へのメッセージが深く心に残っているので、それを中部中学校の卒業生向けにアレンジしてみた。その文章を卒業するみなさんに紹介する。
「十五歳の青空」
十五歳は、青空に似ている。青く澄んで、どこまでも飛び立つことができる可能性を持った空だ。誰にでも空はあるが、十五歳の空は君だけのものだ。
あの大空のキャンパスにどんな絵を描くかは君しだいだ。
今までに読んだ本、聞いた詩、口ずさんだ音楽でやさしい気持ちになり、生きていることが素晴らしいと信じられた時間が詰まっているんだ。その気持ちを捨ててはいけない。
人間が生きる姿勢は、そこから生まれるんだから。
十五歳の空は、どこにでも飛んでいける。信じるものに向かって飛び出そう。空は快晴だけじゃない。心まで濡らす雨の日も、うつむき歩く風の日も、雪の日だってある。実は、そのつらく苦しい日々が君を強くするんだ。
苦しさから逃げるな。自分と向き合え。強い精神を培え。そこに青春の真価はある。中部中学校でともに学んだ仲間がいる。つらいとき、苦しいとき、涙するとき、思い出してください。ともに中部中学校で学んだ仲間や先生たちを。
君は決して一人じゃないよ。空には星もあるのだから。
参照(伊集院静「贈る言葉」集英社)
伊集院静さんは、新聞のインタビューで次のように答えていた。
「人は失敗を嫌い、失敗しないように慎重になりがちである。でも、失敗しないとだめ。失敗だらけということは、宝にあふれているということ。僕も失敗ばかりしていた。失敗を重ねることで大人になっていくのである。」
そのことを「野球でいえば三振しないと名打者は育たないのと同じである。」と元米大リーグ・ヤンキースの選手であった松井秀喜氏を例に出して説明していた。
「2009年に米大リーグ・ヤンキースの松井秀喜選手がワールドシリーズでフィリーズに勝って最優秀選手になりました。松井選手は2003年にヤンキースに入団してから、同じリーグのレッドソックスにいたマルチネスという好投手の球を全く打てずにいました。松井選手は、マルチネス投手を想定して毎日300本の素振りをしました。そして、2009年にフィリーズに移籍してきたマルチネスから2本のホームランを打って、ワールドシリーズの最優秀選手に選出されたのです。
人は、松井選手がマルチネスを想定して、毎日素振りをしていたことに気がつかない。人生の本当の姿は、最優秀選手を取ったホームランの打席にあるのではなく、6年間2000日、黙々と素振りをしていたところにあるのです。」
これからの人生、いつも失敗なく、順風満帆(じゅんぷうまんぱん)に進んでいくという人は極めて少ないのではないかと思う。多くの人が失敗を経験する。
うまくいかないときには、足もとに目を向けて地道な努力を積み重ねてほしいと思う。その努力の時期こそ、やがて大きな花を咲かせるための準備期間になる。うまくいかないときこそ地道な努力を続けてほしい。
以上のような校長先生のお話でした。
卒業生のみなさんが、夢や目標に向かって努力し、充実した人生を歩んでくれることを期待しています。