2月11日(金)NIE新聞活用 読売こども俳句(校長先生より)
- 公開日
- 2022/02/11
- 更新日
- 2022/02/11
校長室
神社のお茶屋さんで、友人と甘酒を注文しました。「寒くなると甘酒飲みたくなるんだよな。冬の季語なんだろ?」という彼に「実は夏の季語なんだ。」と答えると、びっくりした顔に。昔は暑さに勝つために、あえて夏に熱い甘酒を飲んでいたのです。「絶対、冬のほうがうまいよ」とゆずらない彼に、苦笑しつつも納得。(読売新聞の記事より)
2022年1月19日(水)読売新聞朝刊の「こども俳句」を紹介します。
何ねがう 迷いに迷った 初もうで
(小学校4年生の作品)
※二つ、三つとお願いしちゃう人もいますよね。でも、この作者は迷いに迷っているわけですから、一つに絞ろうとしているのです。謙虚な人柄が伝わってきますね。こんないい句ができたのですから、いい年になりますよ。
ゆず湯の日 ただようにおい ろう下まで
(小学校4年生の作品)
※冬至(とうじ)の日には、ゆずを入れたお風呂に入るのが昔からのならわし。この句は、ゆず風呂そのものではなく、「ろう下」を舞台にしたずらしのテクニックがさえています。何の変哲もない廊下まで冬至らしい雰囲気に満たされているのが面白いですね。
だんぼうを つけると外が てきになる
(小学校4年生の作品)
※いったん部屋があたたまると、もう外に出たくなくなるのですよね。そのことを、「外がてきになる」と表現して、まことに楽しい一句でした。さむさという敵と戦いながら、ひたすら春になるまで耐えしのぶのが、冬という季節なのでしょうね。
ロマンスカー そふといっしょの 冬休み
(小学校4年生の作品)
※ロマンスカーということは、箱根に行くのでしょう。空想的な物語を意味する「ロマンス」という言葉が、これからの旅の非日常の高揚感を盛り上げます。祖父というあらたまった呼び方に、もうこどもじゃないぞ!という意思を感じました。
水ぬるむ これも苔(こけ)なの コケ図鑑
(小学校5生の作品)
※コケにもさまざまな種類があるのですよね。その魅力にとりつかれ、図鑑を熱心に読んでいる作者。「水温む(ぬるむ)」の季語が絶妙でした。コケを長生きさせるのは「水」です。コケとともに水温む(ぬるむ)春を喜んでいるようなおおらかさが魅力的でした。
滝の音が 雪を呼んでも 雪降らず
(小学校6年生の作品)
※この小学校では、移動教室で日光に行ったとのこと。この句の滝は、華厳の滝(けごんのたき)ですね。落ち続ける水の音が雪を呼んでいると感じ取った詩的な感性を評価しました。目の前の現実を冷静にとらえた最後の「雪降らず」が、心に余韻(よいん)残します。
【よい句ってどんな句?】 主語が気にならない
文章では、主語をはっきりさせましょうと教わりますね。俳句では、主語は省略することが多いです。書かれていない場合は、作者が主語ということに。ただ、優れた俳句を前にしたときには、だれがこの景色をみているのか、どこが舞台なのかといったことが気にならないものです。
一月の 川一月の 谷の中 飯田龍太
谷の中を、水量の減った川が静かに流れているという、冬景色の簡潔な美しさを表しています。この句、作者によれば山梨の自宅の裏を流れる川を詠んだそうです。でも、作者のことやモデルを知らなくても十分味わうことができます。龍太は「詩は無名がいい」という言葉を残していますが、主語が完全に消えた時に、名句が生まれるといえるかもしれません。
(読売新聞2022年1月19日朝刊より)
中中生のみなさん。冬の季語を意識して、何か俳句を詠んでみてはどうでしょうか。