5月15日(土)NIE新聞活用 読売新聞 こども俳句(校長先生より)
- 公開日
- 2021/05/15
- 更新日
- 2021/05/15
校長室
多様性の時代と言われる現代、端午の節句のこいのぼりも様々ですね。太いさおに何匹もつるす大家族のこいのぼりもあれば、マンションのベランダにちょうどうよい3匹だけのものもあります。どれも子どもの成長を願う伝統を負っていることは変わりありませんね。
2021年5月5日(水)読売新聞朝刊の「こども俳句」を紹介します。
ブランコで 引っこす友と 風きって
(小学校6年生の作品)
※別れの季節である春の一場面を、あざやかに切り取っています。「風きって」というのは、さびしさをふりきるかのように、いきおいよくこいでいるのでしょう。ここにあふれるばかりの思いがこもって、心がゆさぶられました。
花粉症 花から鼻へ 宅配便
(小学校5年生の作品)
※宅配便は「何が届いたかな?」とワクワクするものですが、「花粉の宅配便」は遠慮したいものですね。急いでこなくてもけっこうです!と叫びたくなります。「花から鼻へ」は、同じようにハナと読む花と鼻を掛けたのですね。小技が利いています。
月曜日 ママにおこされ 春ねむし
(小学校3年生の作品)
※月曜日がしんどいのは、大人も子どももいっしょですね。季節が春となれば、暖かさにもう一眠りしたくなります。「早く起きなさい」「まだ眠いよー」・・・そんな母子のやりとりを想像して、フフフと思わず笑ってしまいました。
花笠で 拍手喝采(かっさい) 六年生
(小学校4年生の作品)
※この学校では、卒業していく6年生を、花笠踊りで送り出したそうです。涙のかわりに「拍手喝采」、こういう送る会っていいなあ。「はながさ」「はくしゅ」と「は」の音を重ねた軽やかな調べが、踊りを詠んだ内容によく合っています。
足もとに 春の命が めを出した
(小学校4年生の作品)
※普通は「種(たね)が芽を出した」と書きそうなところ、「春の命がめを出した」といって、土の中に満ちている命そのものを、おおらかにとらえました。足もとの小さな芽も、大きな命のかたまりにつながっていることに、気づかせてくれます。
シャボン玉 ぱちっと消えて 再ちょうせん
(小学校5年生の作品)
※「再ちょうせん」とは、もう一回吹いてみたということ。加えて、もう一つの意味もありそう。シャボン玉自身も、今度は割れないように気をつけながら、大空にふたたびいどんでいるみたい。シャボン玉と心を合わせているのが素敵ですね。
【もっと伝わる直し方】 言葉と言葉に相性あり
「このズボンにはこのチョッキが似合うな」と服を組み合わせるように、言葉と言葉も相性があります。たとえば、「ほつそり育つ男の子」というフレーズにあう花の季語を、俳人飯島晴子は考え、次の3パターンを候補に挙げたそうです。
A 桃(もも)咲いて ほつそり育つ 男の子
B 朴(ほお)咲いて ほつそり育つ 男の子
C 桐(きり)咲いて ほつそり育つ 男の子
Aだと、男の子は、むしろ桃の花のようにふっくらした感じ。Bは悪くないけれど、連想が広がらない。最終的にはCの案を採用したそうです。桐(きり)は高い木の上に咲く、夏の花。それで、やせた男の子のイメージに合うのですね。理屈ではなく感覚に基づいた、言葉のコラボレーション(合作)が俳句なのです。
(読売新聞2021年5月5日朝刊より)
中中生のみなさん。中間テストに向けて、テスト勉強でたいへんだと思いますが、休憩時間には外の自然を眺めながら、俳句を詠んでみてはどうでしょうか。
気持ちが少しほぐれると思いますよ。