1月17日(金) 30年後をイメージする
- 公開日
- 2013/01/18
- 更新日
- 2013/01/18
校長室便り
私は、5年ほど前からマインドマップのお世話になっています。図のようなものでいろいろな問題を整理して考える時とても有効な方法です。その開発者と解説書の翻訳者の神田昌典さんの記事を見つけたので紹介します。
先週のこと。マインドマップの開発者・トニー・ブザンが東京滞在中、相談があるんで、二人で会いたいという。何かと思って出かけていくと、「マサノリ、過去のこと、現在のこと、すべての制約を外して考えよう。我々の30年後のヴィジョンをどう描くのか、一緒に考えて欲しいんだ」という。
30年後のヴィジョンだって????
正直、僕は何、言っちゃってんの、この叔父さんと思った。
なぜならトニーは、現在70歳。30年後には、100歳。そして一昨年、生死をさまようほどの病気をしたばかりだ。
しかし、彼は、真顔だった。
「マサノリ、考えてみろ。私は、気づいたことがあるんだ。私が30歳になるまで、どんなことを達成できたか! マインドマップを開発し、詩を書くようになり、テレビに出演し、著書を出版し、全世界でベストセラーになり、そしてキミとこうして時間を共有している!!」
私はトニーの若き日の活躍に耳を傾けながら、70歳といえば、キャリアの終わりを意識しての発言が当然はじまると思った。しかし予想はまったく外れた。トニーは続けた。
「マサノリ、考えてみろ。0歳から30年で、ここまで達成したんだが、0歳のときには、ばぶばぶ、指をしゃぶっていただけなんだぞ。いま私は70歳で、これだけの経験と、これだけのリソースと、これだけの友人がいる。この土台のうえからはじまる30年は、どれだけ凄いことになるのか、想像できるか?」
それから先、私たちは、未来をどう描くのか、時間を忘れ議論に熱中した。語り合いながら、僕は不思議な映像をみていた。
語り合っていたのは、70歳のトニーと48歳の私ではなく、100歳のトニーと、78歳の私だった。外見は変わっていたが、目の輝きは変わっていなかった。
そして、そこには、もう一人、熱心に耳を傾けている人物が座っていた。その人物は、48歳。そして、その48歳に語りかけているのは、78歳の僕だった。頭が真っ白になった僕は、相手に向かって熱心に語りかけていた。
「30年後のヴィジョンを、一緒に描いてほしいんだ」。
こうしてバトンは、国境を越えて、渡されていくのだろう。
私は、今年58歳になります。自分の30年後を考えることは、心にとても大きな火をともすことになると感じています。今、仕事や子育てに一生懸命の保護者の皆さまも一度、考えていただくのもいいと思います。
むつみ通信33号へジャンプ