3月7日(火)立派に卒業
- 公開日
- 2023/03/07
- 更新日
- 2023/03/07
校長室から
晴れやかに,そしてさわやかに3年生が卒業していきました。本日,3年生全員に卒業証書を手渡すことができました。3年職員と生徒たちのつながりがそうさせてくれたと思います。
写真は,卒業式後の最後の学級活動の様子です。
式辞は以下のような話をしました。
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式 辞
新たに一二八名が、千秋中学校を発展させた卒業生として名を残します。卒業おめでとう。そして、これまで千秋中と自分を大切にしてくれてありがとう。
皆さんは、新型コロナウィルス感染症拡大により、小学校卒業時から続いた三か月間の休校の中、入学してきました。夏休みには、授業時間数の確保・学習内容の補充のために、授業日を増やして、何とか学びの保障をしてきました。
中学校で身につけるべき、自分の在り方の確立、人とのかかわり方の基礎、多様性の受容など、三年間を通して、不安定な世の中をものともせず、精一杯明るく、ひたむきに毎日を送ってきた皆さんを誇りに思います。
新型コロナウィルス感染症の扱いは、今年の五月八日、二類から五類へ移行します。現在の治験による感染力からして、感染が完全に収束して全くなくなることは、難しいと考えます。感染症対策については、自分の在り方と同時に、他者や周囲の人との関わりの中で、自ら判断し、共に幸福をめざし、互いに配慮し合う生き方がより求められるようになります。
二月の新聞にホンソメワケベラという魚の記事が載っていました。内容は、この魚が鏡や写真から自分を認識・識別できるというものです。これを明らかにする実験では、寄生虫を食べる掃除魚として知られる行動特性を利用した対照実験が行われて立証されていました。
ここで考え伝えたいことは、ホンソメワケベラが、他の魚の寄生虫を食べ、自分についた寄生虫を落とそうとする能力とも言うべき習性をもっており、さらに自分自身を認識するようになる、というとではありません。
ホンソメワケベラは、きっと当たり前に生きているということ、人間はそれを知らなかったが知ったということ、そして、ホンソメワケベラが人間に知ってもらったということの三つです。
一つ目の当たり前に生きること。
これは、人にはとても難しいことです。なぜならば、当たり前のことも人それぞれだからです。だからこそ、互いに言葉や文字で語り合い、通じ合って、だれもが生きやすい当たり前を築き上げていく必要があります。
二つ目の知らなかったことを知ること。
他人を知り、理解することは、その特性を知り、生かすことだといえます。人間は元来知的な生き物です。かのパスカルは「人間は考える葦である」と言いました。知らないことを知り、知る喜びを味わい、考えることをやめないことがよりよく生きる秘訣だと思います。「なぜ、どうして」という問いを絶えずもち、「そうか、こうしよう」につなげる気持ちを持ち続けてほしいと思います。
三つ目の知ってもらうこと。
知ってもらうには、行動や言葉で発信・表現しなければなりません。相手を意識しなければなりません。そのためには、自分らしさを追求し、究めることです。すごいことをするのではなく、湧き上がってきたことに対して挑み続けることです。そうすれば、きっと誰かがあなたらしさに気付きます。自分に自信と確信が持てるようになります。そして心に余裕が生まれ、誰かの何かを知ろうとし、理解していくはずです。
これまで、折に触れて伝えてきた「自ら」は、自分を積み上げていくことです。「共に」は、他者と一緒に高みを目指して伸びていくことです。「互いに」は、それぞれを尊重し、手を取り合って進むことです。
道は、必ず開けます。自ら道を開こうと駆り立て、開けるまでの困難は自分を大きくすると信じていれば、開いた先には自分を生かし自分が生かされる未来が待っているはずです。
卒業生のみなさん、改めて数々の困難を乗り越えてきてくれてありがとう。困難と向き合うだけでなく、その中での楽しみや学びの意味を意識してくれてありがとう。それぞれの未来が、あなた自身のものとなるよう願っています。
保護者の皆様のお子様に対する様々な場面、形での愛情を受けとめて卒業の日を迎えました。これまでの学校教育へのご支援ご協力、ありがとうございました。また、来賓の皆様をはじめとする地域の皆様には、我が子のように見守っていただきましたことに深く感謝いたします。
生徒たちは、見えるもの、感じたことをはじめ、見えないものまでもしっかり受け止めて卒業していきます。「千秋の子」から「千秋の人」へ今後ますます大きく成長し、羽ばたいていくことを祈念いたしまして式辞といたします。
令和五年三月七日
一宮市立千秋中学校長 内田 正弥