学校日記

6月30日(金) 最後まで諦めない(部活動激励会の話より)

公開日
2023/06/30
更新日
2023/06/30

校長室より

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 部活動激励会で、以下のように話をしました。

 かつて指導した女子テニス部の話である。
 最後の夏の大会の団体戦で優勝候補の学校と戦うことになった。選手たちは善戦し、1勝1敗で3番手勝負となった。こちらの3番手はキャプテンペアだったが、相手は優勝候補だけになかなかポイントを取らせてくれない。相手にどんどん決められ、とうとうマッチポイントを握られた。この1本を自分たちがミスれば敗退が決まる。キャプテンはミスらないようにと慎重に相手コートに返球した。ところが打球が少し短くなり、相手のチャンスボールになった。そして、相手前衛にコートの外へ逃げるような角度のついたボールを打たれてしまった。
 その瞬間、誰もが優勝候補の学校が勝ったと思った。相手ペアも勝ちを確信して前衛は後衛と向き合い、2人とも両手を上げて喜んでいる。ところが、こちらのキャプテンは違った。1バウンドして逃げるボールを追いかけてコートの外まで走った。とにかく返球したい一心で転びながらラケットを伸ばすと、ラケットの先でとらえたボールが力なくネットにあたり、相手コートに落ちたのである。もう「勝った」と思っていた相手ペアはそのボールに反応できなかった。
 この1ポイントがゲームを大きく動かした。勝ちを確信し、気を抜いてマッチポイントを失った相手ペアは、一気に気持ちが崩れだし、ミスを連発。そうなると流れはこちらに傾く。キャプテンペアは気持ちでは負けないようにプレーを続けた。結局、最終ゲームまでもつれたが、勝ちを拾うことができた。誰もが驚く大金星である。
 試合後にベンチに戻ってきたキャプテンは、「先生、私、諦めずに頑張ったよ。」といった瞬間に、ぽろぽろと涙をこぼした。
 「私が負けるわけにはいかない」「なんとしてもみんなと一緒に勝ち上がりたい」…。どれだけの重圧に耐えてもぎ取った1ポイントだったのか、どれだけ真剣にこの試合に向き合い、全力で戦ったのかを、その涙が教えてくれた。転んで擦りむいたひざに血をにじませながら、涙が止まらないキャプテンの姿を今でも鮮明に覚えている。
 
 それでは、最後まで諦めず、気持ちで負けないように、力いっぱい、悔いの残らないプレーや演奏をしてきてください。西中生の健闘を祈ります。