学校日記

6月8日(月)集会にて

公開日
2026/06/08
更新日
2026/06/09

校長室より

 みなさんは、学校生活の中で「なんであの子は注意されないのに、私ばっかりダメって言われるの?」と不満に感じたことはありませんか?周りの人が注意を受けずに楽しそうに見えると、羨ましくなる気持ちはよく分かります。しかし、「なんで私ばっかり」と言う人は心当たりはないでしょうか。もし、指導される回数が多い原因が自分の行動にあると気づかないまま、周りを羨んで文句を言っているとしたら、とてももったいないことです。今日は、その「一瞬の損得」の先にある、みなさんの未来に大切なことをいくつかの視点からお話しします。

 1つ目は、規則を破ることで失っている「見えないもの」についてです。ルールを破ってもその場は怒られるだけで済んでいるように見えるかもしれませんが、実は「人からの信頼」という目に見えない貯金や、「自分の将来の選択肢」を失い続けています。信頼を積み上げるには何年もかかりますが、崩れるのは一瞬です。「ルールを守らない人」と見なされれば、いざという時に周りの仲間は背中を押してくれません。近年では、中学・高校時代にSNSで犯したルール違反が原因で、進学や就職ができない事例もあると聞いています。後で気づいても時間は巻き戻せません。

 2つ目は、各学年の時期にある「意味」です。1年生は学校のルールを知り、試行錯誤しながらより良い生活を目指す時期です。2年生は経験を広げる時期であり、自分でやってみるからこそ失敗もします。もし注意されることが多くても、先生たちは困らせたくて注意しているわけではありません。失敗した時に言い訳を探すのではなく、自分をアップデートするチャンスと捉えることが大切です。そして3年生は、それまでの蓄積が実力や信頼として評価され、進路へとつながる時期になります。

 ここで勘違いしてほしくないのは、「失敗」と「指導無視」の決定的な違いです。ついやってしまうことは誰にでもあることです。その失敗は成長のための大切なエラーであり、次に直していけばいいのです。しかし、ルールだと分かりながら破ることを繰り返すのは、ただの「指導無視」であり「悪質な行為」です。掃除の手抜き、時間の遅れ、服装や整理整頓のルール違反を「たいしたことじゃない」と勝手に判断していないでしょうか。それぞれの能力に合わせて努力をすることが大切です。できることであるにも関わらず、「努力しようとする姿が見られない」、分かっていて破り続ける行為は、周りからの信頼だけでなく自分自身のプライドをも削り落とします。注意された時に不満を言う前に、自分の行動がどちらなのか胸に手を当てて考えてみてください。行動は思った瞬間から変えられます。

 反対に、周りに流されずルールを守って生活しているみなさんを、私は心から尊敬しています。そして、その人のためなら、心から寄り添っていきたいと自然に思えます。「これからの未来」において生活していくうえで、自然と寄り添ってくれる人たちがいることほど心強いことはありません。真面目に生活している時間が、自分という建物の「頑丈な基礎(土台)」を作っているのです。「真面目が損」ということは絶対にありません。毎日をコツコツ積み重ね、正しい行動を選ぶことが強い信念となり、少しくらい嫌なことがあってもぶれない強さになります。「正しい努力をしておいてよかった」と思える時は必ず来ます。大きな自信と誇りを持ってください。

 3つ目は、なぜ学校でルールを守る習慣をつけるのかという点です。それは社会という広い世界に出るための練習だからです。社会のルールを理解し、適切に行動できる人こそが「カッコいい大人」です。さらに、どんな状況においても、今の自分に何ができるかを考えて動ける人が、本当に社会で必要とされます。周りがどうしているかは関係ありません。大切なのは「あなた自身が、どんな自分になりたいか」です。

 最後に、本校の卒業生である小田凱人(おだ ときと)さんの話をします。小田さんは今朝、全仏で4連覇を達成したと聞きました。彼は9歳の時に骨肉腫という大きな病気を患い、大好きだったサッカーをあきらめて車いす生活を余儀なくされました。「なんで自分だけこんな目に遭うんだ」と運命を呪ってもおかしくない状況でしたが、彼は周りと比べることをしませんでした。車いすテニスに出会い、「世界一になる」という強い信念を自分で決めたからです。この強い軸こそが世界を揺るがす強さの始まりでした。

 「あの子はいいな」と周りを気にするのはもうやめて、自分の足元をしっかり見つめてみませんか。失敗しても構いません。しかし、分かっていて破ることは絶対にやめましょう。今やるべきことに一生懸命向き合う積み重ねが、必ず「未来の自分」を助ける力になります。

 みなさんが「ぶれない強さ」を持った素敵な大人になれるよう、これからも全力で応援しています。