2月28日(土) 違いを知り、誇りを持ち、未来を歩む【少年の主張愛知県大会より】
- 公開日
- 2026/02/28
- 更新日
- 2026/02/01
校長室
中学校に「夢と希望と」をテーマにした「令和7年度少年の主張愛知県大会」の発表文集が届きました。みなさんと同じ世代の子たちが今伝えたいことをぜひ読んでほしい!感じたことを友だちや学校の先生、家族に話してみてほしい!そんな願いからHP記事で少しずつ紹介していきます。今回紹介するのは、稲沢市立稲沢西中学校3年の生徒の作品です。
題:違いを知り、誇りを持ち、未来を歩む
春休みに父の働くアメリカへ行きニューヨークを旅した。皆さんはニューヨークと聞いて、どんな街を思い浮かべるだろうか?「高層ビル群」「近代的」「世界一の街」など色々な考えがあるだろうが、私が訪れたそこは憧れていたキラキラした街ではなかった。ホテルから一歩外に出れば街はゴミと汚水で溢れ、歩道や地下鉄の駅にはホームレスや鼠もいた。観光客も住人も、警察官すら平気で信号無視をし、タクシーは常にクラクションで威嚇した。「これが世界一の街?」理想との落差に、散策が苦痛なほどだった。
美術館や高級レストランのトイレだけを私は使った。なぜなら、それ以外の便器は汚れがひどく、溢れるゴミを目にすると悲しくなったからだ。空港のトイレですらそのような状態で、私は無意識に流れ続ける水を止め、大量に散らかったペーパータオルをゴミ箱に捨てた。その瞬間、清掃員に「カインドガール!モラルガール!」と声をかけられた。戸惑っていると、母が「サンクス」と笑い、私に「お掃除は係の人がやるから、見ないふりが少なくない。アメリカは学校で掃除の時間がないの。」と言った。私はふと以前観た『日本の小学校の映画』を思い出した。「六歳児は世界のどこでも同じようだけれど十二歳になる頃には、日本の子どもは“日本人”になっている」そのキャッチ―な一文は私を激しく納得させた。
私に染み付く衛生観念をはじめ公共施設を気持ちよく使う美化意識や行動は習慣である。園児の頃からお片づけとお掃除の歌を口ずさみ、中学生の今も毎日校内清掃に取り組む。街中や歩道にゴミを捨てないのもルールやマナーとして学んだ。幼少期から道徳心やモラルとして備わり、私に深く根付いて“日本人”になったのだ。「日本が一番いい!もうアメリカは無いわ。」と私は漏らした。するとそんな私を見て、父がアメリカで働く難しさ、特に日本の価値観の押し付けがアメリカ人部下からの反感を買うと話した。家族の特別な日は早く帰宅し、自分の人生プランを大事にするから転職が盛んだということも聞いた。アメリカで兄を出産した母は、アメリカの教育も魅力的だったと話した。アメリカでは3歳から「ショウアンドテル」というプレゼン力への取り組みがあるし、「他人との違いこそ自分らしさだ」と教わるらしい。兄が「アメリカ凄い」と喜ぶので、母が「紗来は海外に出て日本の良さを再認識できたのよ」と強い口調で付け加えていた。
アメリカの良いところ探しをしてみた。幼少期から意見を伝えられる、個人や多様性を大事にし得意を伸ばす視点から芸術や文化、スポーツなどが豊かで世界から憧れを持たれる。では、日本人の強みは何か?駐在員として調整役を担っている父は、「時間厳守から始まる納期厳守や完璧を追及して改善改良の姿勢を持ち続ける日々がものづくりの魂の部分であり、世界に評価されている」と語ってくれた。私の良いところは?あの空港トイレを思った。公共の場を丁寧に使うのは単に清潔好きでなく、他者を思いやっての行動だ。ポイ捨てをせずにごみを拾うのも不快を快適に変えたいからだ。これらを協力して行い、広げていけるのが日本人で、他者や社会とのつながりを大切にして皆が気持ち良く生きることを無意識に積み重ねている。これが世界で言われるおもてなしの心や清潔さ、秩序につながっているのではないか。それぞれに良さがいくつもあってどちらが正しいというものではない。異なる価値観だが互いに尊重すれば良い方向に進むだろう。
ニューヨークという多様性と自由の街で過ごし、私は理想と現実を目の当たりにし絶句した。と、同時に自分が秩序を重んじる日本人だと改めて気付いた。これを機に日本の地でも積極的に異文化に触れ、習慣・価値観の違う人と交流していきたい。それらは国際性を身につける初めの一歩だ。そして、歴史や背景を学ぶのはもちろん、現在進行形の世界中の問題から目を背けず、考え続ける姿勢が必要だ。それは、私が「世界の一員として」生きることにつながっているからだ。再びニューヨークに飛び込むその日まで、私は他者への思いやりや配慮を忘れないモラルガールとしての行動をし続けようと決意した。日本人の誇りと自信を胸に突き進みたい‼