3月7日(金)校長室より『第78回卒業式を終えて』
- 公開日
- 2025/03/07
- 更新日
- 2025/03/07
校長室
本日、第78回の卒業式を終え、309名の生徒が本校を巣立っていきました。卒業生のこれからのますますの活躍を、心から期待しています。本日の卒業式の式辞を紹介します。
寒さ厳しい冬も終わり、桜の開花が待ち遠しいこの佳き日に、本校を巣立ちゆく309名の皆さん、卒業おめでとうございます。また、ご来賓の皆さまには、大変ご多用の中、卒業生のためにご臨席賜り、厚くお礼を申し上げます。
保護者の皆様方にも、お子さまのご卒業を心からお祝い申し上げます。今日、立派に成長されたお子さまの卒業式に臨まれ、幼さが残る入学時の姿と、3年間の数々の思い出が重なり、感慨もひとしおではないかと拝察いたします。
これまで長きにわたり、本校に対しまして、ご支援・ご協力をいただきましたことに、改めて厚くお礼を申し上げます。誠にありがとうございました。
卒業生の皆さん。皆さんの3年間を振り返ると、入学当初は、まだ、コロナウイルス感染症による、さまざまな制限がありました。2年生になってから、ようやく普通の生活を取り戻し、皆さんの溌溂とした姿や笑顔が、多くの場面で見られるようになりました。
とりわけ、3年生の修学旅行での、皆さんの笑顔がとても印象に残っています。友人と共に、横浜散策や、東京での研修を楽しみながら、新たなことを学びました。岩井での、宿の皆さんの温かいもてなしに触れ、仲間と過ごした3日間は、忘れられない思い出になったことでしょう。
また、「千花繚乱」のスローガンのもとに行われた体育祭では、夏休み中から練習を重ね、力強く、息の合ったダンスや迫力のある応援合戦を披露してくれました。パネルや椅子を使った圧巻の演技、3年生のパワーが木曽川中学校の体育祭を見事に作り上げてくれました。
<中略>
さて、日本を代表する彫刻家である、高村光太郎の作品に、「栄螺(さざえ)」という木彫りの作品があります。手のひらに乗るほどの小さな作品ですが、複雑に突き出た幾つもの「つの」や、螺旋状に彫られた貝殻の文様など、まるで本物の栄螺がそこにあるかのようで、それを見た時、たいへん驚いたことを覚えています。
光太郎はその制作過程で、失敗を重ねる中、複雑な形をした「栄螺」という貝の中にある、一つの「軸」を見つけ出しました。
そして、光太郎は
「私は何を見てもその軸を見ない中には仕事に着手しない」
「その軸を見つけ出すことは容易ではない」
「軸は魚にも木の葉にも何にでも存在する」
「木の葉一枚でもそれを見ないでやったものは、彫ったものが弱い」
と語っています。
「軸」とは、物事の本質、中心となる最も重要な部分を指しているのです。
卒業生の皆さん。
皆さんは、予測することさえ難しい、大きな変化が続く社会をこれから生きていくことになります。激しく変化する社会だからこそ、新しいことに挑戦する場面や、重要な決断をする場面で、「軸」を見つけること、つまり、何が本質なのか、大切なことは何なのかを、深く考え、探り、つかみ取ることが、今まで以上に必要になるのだと思います。
これから先、皆さんが自分を磨き、さらに高みを目指すために、「軸」を見つけ出す努力を、積み重ねてくれることを願っています。
「繋ぐ」、これは3年生の学年目標です。この言葉には、「経験や知識を繋ぎ、人と繋がり、大きく成長して欲しい」という、先生方の願いが込められています。
その思いを大切にして、木曽川中学校での学びを糧に、未来に向けて、大きな夢を追い続けてほしいと思います。
終わりに、第78回卒業生の皆さん。皆さんの、健康と活躍を祈り、夢あふれる、素晴らしい未来を、築きあげてくれることを願って、式辞といたします。