今中日記

9月3日 パラリンピックから

公開日
2012/09/03
更新日
2012/09/03

こころを育てる

 今、パラリンピックがロンドンで行われています。障がいを持つ人たちは、世界中にたくさんいます。その人たちが、スポーツを通して健常者と同じように認められ、生きがいや目的を持って参加しています。足のない人、手のない人、目の見えない人も、同じように生きる権利を持ち、誰からも人権を守られているのです。
 ひとつの詩を紹介します。

 私と小鳥とすずと  金子 みすゞ

   私が両手をひろげても、
   お空はちっとも飛べないが、
   飛べる小鳥は私のやうに、
   地面(じべた)を速くは走れない。

   私がからだをゆすっても、
   きれいな音は出ないけど、
   あの鳴る鈴は私のやうに、
   たくさんな唄は知らないよ。

   鈴と、小鳥と、それから私、
   みんなちがって、みんないい。


彼女は、本名は金子テル。大正末期から昭和の初めにかけ、雑誌「童話」「赤い鳥」「金の星」に投稿し、「若き童謡詩人の中の巨星」と賞賛されながらも、26歳の若さでこの世を去りました。彼女の詩は、自然の物すべてに対してやさしく、深い思いやりがあり、多くの人々のこころに大きな感動を呼びおこしました。
 この詩でみすゞは、“お空はちっとも飛べないが、”“きれいな音は出ないけど、”と、自分にできないことからうたっています。ついつい私たちは「自分ができること」が「できない」人を見ると、自分より劣っているとすら考えてしまいがちです。

 でも、みすゞは、「できないこと」がふつうであって、その上で「できること」があると考えます。こう考えると、できることがとてもすばらしいことになるのです。

 同じように、「見えないものと見えるもの」と、一度、自分の考え方、見方を逆転させると気付くことがたくさん出てきます。

そして、鈴も小鳥も、それから私も、みんなちがって、みんないい。と言えることこそすばらしいことです。そこには、相手をさげすんだり、優劣をつけようとしたりする発想はありません。いじめなど存在しないのです。


お互いがお互いのよさを認め合い、心をもっともっと豊かに成長させましょう。y