学校日記

1月9日(木) 1年生 沃野に風   vol.2

公開日
2025/01/09
更新日
2025/01/09

1年生

         “爽やかな風”

正月の箱根駅伝。各選手20キロ超、10区間の起伏のあるコースで争われる恒例の大会だ。関東地区の大学は、箱根駅伝を陸上長距離の最後で最大の大会と位置づけ鎬(しのぎ)を削っており、大々的にテレビ中継もされているので観た者も多いだろう。優勝した青山学院大だけでなく、どの出場校の、どの選手も、この日に賭け、懸命の努力を重ねていた。

全チームが優勝を目指す中で勝者は唯一つ。青山学院大の卓越した活動は勿論最大級に称賛されていい。一方で大半が勝利という形では報われなかったチームだが、敗者だから価値がない訳では決してない。負けた時に人間の真の姿が表れる、敗れた時の姿勢で人間の品格が決まる・・それを象徴した場面が平林選手の言葉と態度だった。
これだけのことが言えるのは、言えるだけの努力と精進の日々を送ったということ。全力で立ち向かい、やり切ったという圧倒的事実、部員同士切磋琢磨しチームの絆を深めた事実、そして支えた方々への感謝の思い、それらが爽やかな風を運んだのだ。

なぜ彼らの姿が心に刺さるのか。偏に出場した選手らの直向きで懸命な姿が心に沁みるからだ。物事は目標を定めて一心に努力しないと成果は出てこない。一生懸命を演じるだけの者は底が知れているし見透かされる。やはり長い年月をこの日のために賭けている者たちは、場が荘厳さに満ち、表情、目、佇(たたず)まいの全てに「氣」が漂う。試合終了とともに緊張から解放され、安堵あるいは呆然とした姿をさらすのは「氣」が抜けたからであり、それゆえ勝利の瞬間に弾け、敗北の瞬間に崩れ落ちるのだ。涙はその象徴だ。

私たちは生徒たちに、このような生き方に近づいてほしいと願う。体育祭等の行事然り、定期テストも然りである。私たちは、「目標に向けて直向きに努力せよ」と伝え続けることが9割、同時に「グッドルーザーであれ」と残りの1割は訴えていきたい。敗れてもなお、努力の末にたどり着いたものは決して消えない。それが箱根駅伝、あるいはオリンピックや甲子園から学べる価値というものではないか。

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