今中日記

4月7日(水)入学式 式辞

公開日
2021/04/07
更新日
2021/04/07

校長室より

 入学式の式辞を掲載しました。ご入学おめでとうございます。

 うららかな春の光の中、本日ここに令和3年度の入学式が挙行できますことを、心から感謝申し上げます。ありがとうございます。
 
さて、247名の新入生のみなさん、入学おめでとうございます。
 今、この式に臨む一人一人の姿、引き締まった表情を見て、今日から始まる中学校生活に向けての意気込みが伝わってきます。今伊勢中学校の生徒として、これからどんな成長を見せてくれるのか、みなさんの活躍が楽しみでなりません。
 
みなさんは「となりのトトロ」や「魔女の宅急便」などを手掛けた「宮崎駿監督」を知っていますか。その作品は、すばらしいを越えて、こんな細かなところまで描くのかと感動さえ覚えるものです。その宮崎監督が、あるテレビ番組の、ご自身の作品づくりの中でこんなことをおっしゃっていました。
「面倒くさいっていう自分の気持ちとの戦いなんだよ。世の中の大事なことはたいてい面倒くさいんだよ」と。

世界で高い評価を受けてこられた宮崎監督の言葉の奥にあるメッセージを、今日のみなさんとともに考えるなら、私は次のように言い換えることができると思います。「これから出会う面倒なことには、実はとても大事なことが含まれています。そして、この面倒くさいと思う気持ちを乗り越え、諦めずににやり抜くことが、すばらしい結果につながるのです」と。これから大人に向かってさらに成長を遂げるみなさんにとって、この「諦めずににやり抜く力」を、この今伊勢中学校で身に着けてほしいと思います。
 
では、どうすれば「やり抜く力」を身に付けられるのでしょうか。それは、小学生までの幼い気持ちを捨てるところから始まります。今までは、「お家の人にやってもらう」ことが多かったと思います。今日からは、「中学生になった」ことを誇りにもち、「これからの生き方が自分の未来を創る」ことを自覚して、「言われる前に自分で取り組む」ことに挑戦してください。そして、次の二つを大切にし、日々心掛けることで、「諦めずにやり抜く」ことができると信じています。
 
一つ目は「凡事徹底」です。
 「何でもない平凡なことをいい加減に済ませず、納得いくまでしっかりやっていく」ということです。
今伊勢中学校では、日々の生活の一つ一つを丁寧に徹底して行っています。毎朝時間を計りながら全校生徒が手洗いを実践しています。先生や地域の方、お客さんには必ず会釈やあいさつをします。掃除の時間は自分と向き合い、静かに丁寧に取り組むことで自分の心を磨きます。これらは一例ですが、当たり前のことに「心を込める」ことで、その行動の意味を知ることができます。そして、徹底して続けることで自分自身の心が整い、鍛えられます。
 
二つ目は「自他共栄」です。
 この言葉は、柔道家の先生の教えの一つです。仲間や社会で生活している人が、他の人と助け合いながら、より良い関係をつくることで、お互いの理解を深め、共に生き栄えることができるという教えです。   
自分のことだけに終わらず、他人のことも含めて考えることで、集団で生活する学校、学級、仲間では、それぞれ一人一人が幸せになることができます。困っている人がいれば、「どうしたの」と優しく声をかける、「いじめは絶対にしない。させない。許さない」と一人一人が心に誓い、実践することで「自他共栄」の関係を築くことができます。

「自他共栄」の組織づくりは、人や物に「真心」を込めること、受けた「真心」や「助け」に対して「ありがとう」と「感謝」の気持ちを伝えることです。「感謝」はやがて、人と人をつなぎ、「信頼」へと続きます。
「真心、感謝、信頼」を広げることは、自分の気持ちを強くしてくれます。それは、「自他共栄」の信頼関係が、自分を信じる力となるからです。自分が誰かの役に立ったとき、仲間との信頼関係が生まれたとき、きっとあなたは、自分のこと、仲間のことが大好きになっていることでしょう。
「凡事徹底」と「自他共栄」は、みなさんの「諦めずにやり抜く力」となり、今伊勢中学校での生活を充実したものにしてくれます。

新入生のみなさん、中学校の3年間は、人生の基礎を築く3年間です。新型コロナウイルスによって、人々は身体的な距離をとることを余儀なくされています。そのことで、心の距離も遠くなってしまっては、今、身に付けるべき「人としての生き方」をもウイルスによって変えられてしまう結果になります。何事にも「真心」を込めて取り組み、自分と相手を思いやり、お互いの心と命を大切にする大人に成長することを切に願います。
 
そして、保護者の皆様、本日はお子様のご入学、誠におめでとうございます。本日の臨席は新型コロナウイルス感染症対策の一つとして、一家庭一名に絞らせていただきました。より多くの方々に新入生を祝福していただきたいところではありましたが、ご理解とご協力に感謝申し上げます。
 本日より、お子様は中学生として、この今伊勢中学校で学びます。一人一人が自立できるよう、社会性を培うとともに、その持てる素晴らしい力と良さを最大限に伸ばすことができますように、学校とご家庭がしっかり連携し、地域の方々のご支援をいただきながら教育を邁進してまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 
それでは、新入生のみなさん、自分の可能性を信じ、輝く未来への基礎を存分に学び、さらに成長することを祈念して、式辞とします。      
            令和3年4月7日                                       
            一宮市立今伊勢中学校 
            校 長  肩野 善文