学校日記

3月24日(金)生きているだけで充分(修了式式辞より)

公開日
2023/03/24
更新日
2023/03/24

校長室より

 みなさんの前で話をするのは、これが最後となります。
 今日は自分の中学時代の話をします。
 私は野球部員でした。全校生徒1,000人を超える大きな学校で、狭いグランドの中にたくさんの部活動がひしめき合って練習していました。私が守っていたセカンドのすぐ後ろは、男子テニス部が活動。全国大会を目指すような強いチームでした。かたや野球部は市大会で一度も勝ったことがない弱小チーム。
 強いテニス部の迷惑にならないように、野球部がテニスボールで練習をしたり、野球部が学校外にグランドを借りて練習をしたりと、屈辱的な思いしている野球部でした。
たまに校内で野球のボールで練習していると、野球部のボールがテニスコートに転がっていくだけで「危ないだろう。しっかり守れ!」とテニス部顧問からセカンドの私は何度も叱られました。
 テニスコートに野球ボールが入ると怒られるのに、テニスボールは野球部の方に普通に入ってくることに疑問・不満を感じていたのですが、テニス部に抗議をすることも、野球部顧問に相談することもできませんでした。その時の顧問はノックもできないような頼りないカマキリのような先生でした。そして、我慢が限界に達した時、野球部員で、転がってきたテニスボールをわからないようにポケットにそっと隠し、捨てるということをメンバーで行ったのです。もちろん自分もそのメンバーに入っていました。当然、強い部活はボールの管理もしっかりしていて、すぐにボールが足りないことに気づき、野球部が疑われました。さっそく、野球部全員が呼び出され、テニス部顧問から「お前たちがボールを隠したんだろう」と厳しく叱られました。その時、黙って話を聞いていた頼りないカマキリ先生が今まで聞いたことがないような大きな声で「うちの野球部にはそんな卑怯な奴はいない。失礼なことを言うな」とその顧問を一括し追い返したのです。その後、野球部員は残り、カマキリ先生からは、「俺は、お前たちを信じている」と一言だけ。
 野球部員は、人としてやってはいけないこと、そして信じてくれている人を裏切っていることを強く恥じました。「二度とこんなことは止めよう。そして残り少ない練習を頑張ろう」とみんなで誓いました。野球部は夏の大会は1回戦負けでしたが、自分の人生にとって大切な出来事となりました。
 私はこの出来事がきっかけで、カマキリ先生のような大人になりたいと教師を目指すことになり、そして、今ここにいます。その出来事があったから北中生と出会うことができました。後悔だらけの中学時代でしたが今はすべてに感謝しています。
 中学校時代は、思考力・体そして何より心が大きく成長するとき、時には悩みや苦しみ、心が折れそうな失敗に出逢うこともあります。もうダメ、苦しい、逃げたいと思うときがあるかもしれません。そんな時は、周りの大人や仲間に助けを求めてください。北中の先生方はしっかりと受け止めてくれる先生ばかりです。たとえすぐに解決はできなくても、共に苦しみを感じながら前に進むことができます。
 北中は自分らしく人のために行動する生徒、先生が集まった日本一の学校です。
この学校で、北中生が活躍する姿をこれからも応援しています。
最後に、ある映画のある言葉をみなさんに贈ります。
「立ち止まってもいい
 歩けなくてもいい
 生きているだけで充分
 でももしも、立ち上がりたいと思ったら
 近くにいる人と手をつないでほしい
 何度でも歩き出せる
 歩き出したら、景色は変わり、世界が変わる
 だから、大丈夫!
 迷わず、前に進もう」