オンライン朝礼での校長先生のお話 2/28
- 公開日
- 2022/02/28
- 更新日
- 2022/02/28
校長室
今日で2月が終わります。2月の初めから、6年生の子たち5〜6名を15分間、毎日順番に校長室にお招きしました。卒業が間近なので、小学校での思い出・将来の夢ややってみたいこと、中学校に入ってからやってみたい部活動などについて私と話をしました。一人一人の思いが伝わってきてとてもよい時間となったのですが、その中である子が「やってみたいとは思わないけど、○○○という職業に憧れている」と話してくれました。私はその言葉を聞いて「憧れ」という気持ちはすばらしいなと感じて、今日は私が「憧れた人(方)」についてお話します。
私がまだ20歳代前半で初めて学校の先生になった時、その学校にいらっしゃった私より5歳年上の「神屋先生(仮名)」が私がこんな先生になりたい、と憧れた方でした。
その時、私は4月1日に中学校の先生になったばかり。翌日、4月2日に神屋先生は私に向かって「山田先生は、弱いな。」と言われました。私が就職した中学校は時にはガラスが割られたり暴れる子がいたりしたいわゆる荒れた学校でしたので「そうか、自分は弱いのか。この学校でやっていけるかな。」と不安になりました。しかし、その後、神屋先生は「弱いけど・・・いいよ。山田先生は、いい!」と言ってくれたので、私は「自分は、いいんだ。」と思ってほっとしました。教師になったばかりで1時間も授業をしたことがなく全く経験がない私の何がよかったのか、いまだにわかりません。考えてみると、その時の私は「教師になれたからがんばるぞ。」というやる気だけはありました。やる気しかない私だったけど、神屋先生はそれを認めてくれたのかな、と思っています。
また、神屋先生は、教師としての心構えも教えてくれました。「子どもを指導する時には、“きみ(あなた)のために”と必ず言いながら指導するんだよ。指導しても素直に聞かず口答えする子も中にはいるだろうけど、子どもをきらってはだめだ。だから、“きみ(あなた)のために”と言い続けるんだよ。」と教えてくれました。別の機会には、私に「山田先生は、美術(図工)のプロだよね。今度、自分が顧問をしている陸上部のユニフォームを新しく注文するんだが、どんな色の組み合わせにするとよいか教えてほしい。」と言われました。私は憧れの神屋先生にあてにしてもらえたことがうれしくて、ユニフォームのデザインを見ながら、この部分はこの色でこっちはこの色・・と色の組み合わせを考えて神屋先生に提案しました。出来上がったユニフォームは私が考えた通りの色になっていて、とても嬉しい気持ちになりました。
神屋先生は私に教師として、人として大切なことを教えてくれました。このことは、みなさんが友達と、または自分より年下の子と接する時にも大切なことなのではないか、と感じたので、今日、お話ししました。もう一度、まとめてお伝えします。
★その人の「できる・できない」に関係なく、やる気(意欲)を認めて伸ばす。
★よくない行いについては指導するけれど、人としてきらってはだめ。
★自分一人でやらず、時には人をたよりいっしょに取り組むことで、その人のやる気を引き出す。
それから、私は教師として30年以上働いてきましたが、憧れの神屋先生に追いついたと思えたことはありません。もしかしたら、一生追いつけないかもしれません。でも、6年生の子が話してくれた「憧れ」という言葉を聞いて、神屋先生のような先生に少しでも近づけるようにがんばろうという気持ちをあらためて思い出しました。「憧れ」という素敵な言葉を伝えてくれた6年生の子に感謝しながら、お話を終わります。今日もよく聞いて下さり、ありがとうございました。