学校日記

2月20日(月) 親から授かった命(朝礼より)

公開日
2023/02/20
更新日
2023/02/20

校長室より

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今日は、このハサミムシの虫の話をします。
ハサミムシは、冬の終わりから春の初めに卵を産みます。
ハサミムシの母親は、産んだ卵の上に体を覆いかぶせるようにして、片時も卵のそばを離れることなく約40日もの間、卵を守り続けます。そして、長い苦労の末、たくさんのハサミムシの子どもたちが卵からかえります。普通の昆虫ならここで母親の役目を終えるのですが、ハサミムシの母親の仕事はこれで終わりではなく、この後に大切な母親としての役割が残されているのです。
それでは、「生き物の死にざま」という本の「ハサミムシ」の説明文を読みます。
『ハサミムシは肉食で、小さな昆虫などを餌にしている。しかし、卵からかえったばかりの小さな幼虫は、周りに小さな昆虫が少なく獲物を獲ることができない。幼虫たちは、空腹に耐えながら、甘えてすがりつくように母親の体に集まっていく。そして、あろうことか、子どもたちは自分の母親の体を食べ始める。
そして、子どもたちに襲われた母親は逃げるそぶりも見せない。むしろ子どもたちを慈しむかのように、腹のやわらかい部分を差し出すのだ。
残酷だと言えば、そのとおりかもしれない。しかし、幼い子どもたちは、何かを食べなければ飢えて死んでしまう。母親にしてみれば、それでは、何のために苦労をして卵を守ってきたのかわからない。
母親は少しずつ少しずつ体を失っていく。しかし、失われた体は、子どもたちの血となり肉となっていくのだ。遠ざかる意識の中で、彼女は何を思うのだろう。どんな思いで命を終えようとしているのだろうか。
子どもたちが母親を食べ尽くした頃、季節は春を迎える。そして、立派に成長した子どもたちは石の下から這い出て、それぞれの道へと進んでいくのである。』

 ハサミムシは、限られた自分の命を使って子どもの命を守り、命の終わりが生の始まりとなります。
 私たち人間もハサミムシと同じ生き物です。生まれてすぐは、泣くことしかできない私たちは、親からたくさんの愛情を受けて育ててもらい、たくさんの出会いの中で生きていきます。一人で生きてきたということは絶対ありません。親があっての私たちであるということを改めて考えさせられるハサミムシの話でした。
 北中生のみなさん、どうか、親から授かった、今ある自分の命を大切に生きてほしいと思います。特に3年生の皆さんは、後少しで中学校を卒業し、新たな道を歩み始めます。様々な困難もあるかもしれませんが、自分や家族、周りを大切にしながら前に進んでください。