学校日記

5月9日(月)「わら文化とSDGs」(朝礼より)

公開日
2022/05/09
更新日
2022/05/09

ESD

 5月に入っていよいよ田植えの季節がやってきます。といいたいところですが、田植えではなく、直接種をまく直播で稲づくりをする農家が増えてきているといことは知っていますか。我が家の近くの田んぼも水がはられていないのに稲が育ち始めています。近い将来、日本から田植えがなくなるという話も出ています。田植えという風物詩がなくなるというのはとても寂しい話ですが、日本の食文化を米づくりが支え続けることは間違いないと思います。
 では、みなさん、これは何だかわかりますか。「藁(ワラ)」です。農家の方に分けていただきました。昨年の稲刈りの後のものです。少しお米も残っています。
 秋の収穫後の「ワラ」は役目を終えた「ゴミ」のようなものですが、実は違います。これは、ホームセンターで園芸に使うワラとして売られていました。
 この「ワラ」を再利用する文化が大いに栄えていたのが江戸時代です。例えば、「ワラジ」という草履、「ワラブキ」という屋根、「ムシロ」という敷物などなど、生活必需品には「ワラ」は欠かせない材料でした。また、生活品だけでなく、神様への祈りのシンボルとして活用されていることです。新年のしめ飾り、神社のしめ縄、そして相撲の土俵もワラで作られています。そして究極は、これ以上使えなくなったワラを燃やしてできた「ワラの灰」、さすがに捨てるしかない。と思いきや、これがすごい力をもっています。植物を育てる肥料になるということです。あの「花咲か爺さん」が、「枯れ木に花を咲かせましょう」といって灰を巻いたら、枯れ木にたくさんの桜の花が咲いた。というお話はおとぎ話のようですが、灰の効果を考えれば、うなずける話なのです。

 このようにワラの文化は、SDGs(サスティナブル・デベロップメント・ゴールズ)の目標12「つくる責任つかう責任」「廃棄物の発生を大幅に削減する」というそのものです。
 このワラ文化が最盛期だった江戸時代は、様々な面で世界でも類を見ないぐらいの最先端の町だったのです。例えば、水道・道路などのインフラ整備、公衆トイレの設置、リサイクルなど、SDGsの面で江戸時代は世界の見本的な町でした。
 みんなが平和に暮らせる持続可能な社会を創っていくためのヒントが、日本の歴史・文化にはたくさんあるのかもしれませんね。

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