学校日記 「きらわく」

3/20 第76回卒業式〜式辞

公開日
2023/03/20
更新日
2023/03/20

校長室

(前半省略)

 輝く姿と言えば、私自身が中学生の頃からずっとソフトテニスに取り組み続け、教員になってからも指導者として携わってきたこともあり、今年一月に世界ランク一位のまま引退を表明した一人の一流のテニスプレイヤーを思い浮かべます。皆さんの先輩にあたる西成中出身の小田凱人君へバトンを受け渡した、日本の元プロ車いすテニス選手の国枝慎吾さんです。
 
 国枝選手は、世界四大大会と言われるグランドスラム車いす部門で、男子世界歴代最多となる計五十回優勝の記録保持者であり、年間最終世界ランキングでは一位を八回記録している、世界ナンバーワンのプロ車いすテニス選手でした。パラリンピックでは、金メダルを計四個獲得し、五大会連続でメダル獲得をしました。もちろん二〇二〇年の東京オリンピックでも、金メダルを獲得し大活躍でした。

 これだけの輝かしい成績を残した国枝選手は、引退の際に、「成績、タイトルでやり残したことはない。もう十分やり切った。最高のテニス人生を送れたと言い切れる。やり切ったなと思える現役生活は、最高に幸せだった」とこれまでを振り返って話し、周囲の支えに感謝しました。
 
 九歳の時に脊髄の病気で両足に障害が残り、車いす生活が始まった時には、大好きだった野球ができなくなってしまい、落胆したこともありました。それでも、母の勧めで車いすテニスに出会い、ラケットを手に取ったときから、計り知れないほどの夢と希望が生まれました。子どもの頃はもちろん、大人になっても負けず嫌いであった国枝選手は、再発するけがや襲いかかる重圧を乗り越え、明確な目標を立て、夢や希望に向かって、数えきれないほどの世界一を勝ち取っていったのです。

 国枝選手の現役時代の代名詞になった「俺は最強だ」という言葉は、オーストラリア人のメンタルトレーナーとの対話から生まれたもので、栄光に彩られた選手生活を支えてきました。国枝選手にとって、この言葉は自らを高みに導くキーワードでした。「こんなひ弱な集中力で『俺は最強だ』と言い切れるのかと、自分に問いかけながら練習に取り組むことで、テニスのプレイの質を上げていくことになったのです。また、試合中には、コートの中でこの言葉を何度も口に出し、自分を鼓舞し続け、言葉の力を信じて、高みを目指していったのです。

 卒業生の皆さん、皆さんがこれから歩んでいく道は、夢と希望に満ち溢れています。しかし、その道は、決して平たんな道ではありません。つらいことや苦しいこともあるでしょう。それでも、国枝選手のように、どんな状況であったとしても、いつも「夢」や「希望」を持ち、「目標」に向かって前へ前へと一歩ずつ進んでいってください。そして、自分の思いや考えを言葉にし、口に出して伝え、自分を信じ、自分に自信をもって道を切り開いていく強い信念を持ち続けていってください。

 また、この西成小学校でこれまで培ってきた、下級生や周りのいろいろな人たちに、きらきらと輝く姿として見せてきた、人を思いやる優しい心も忘れないでください。皆さんが、「強さ」と「優しさ」を兼ね備えた魅力ある素敵な人へ、更に成長していくことを心から願っています。

(最後省略)

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