むすぶ 1月18日
- 公開日
- 2023/01/18
- 更新日
- 2023/01/18
校長だより
昨日は阪神淡路大震災発生から28年目の日でした。地震発生の朝、午前5時46分に神戸では多くの人が集まり、犠牲になった方々を思い、黙とうをささげていました。昨年は、「忘」の字をかたどった灯籠の明かりに、伝えていくことの大切さを切望する人々の強い願いを感じました。今年の字は「むすぶ」。人と人を結び、震災を語り継いでいこうという思いが込められていました。浅井北っ子の皆さんもテレビのニュースや新聞で目にしたことと思います。
今朝の新聞では震災で長女の志乃さんをなくした上野政志さんの言葉が掲載されていました。当時20歳であった志乃さんは成人式で「一歩一歩を大切に生きていきたい」という思いをもっていました、しかし、震災の被害にあい、その後、一歩も歩むことなく、亡くなってしまいました。父である政志さんは震災直後、志乃さんを助け出そうとしたもののかなわなかったこと、その後、「生きることの意味」を伝えるために大学で話をされたことなどを語られていました。将来の夢や思いを伝えられぬまま、逝ってしまった志乃さんを政志さんが語ることで知ってもらえることになる、そのことで志乃さんが時折生きているような思いになると言ってみえました。
毎年1月17日となると、私は、28年前の朝5時46分のことを思い出します。その時、私は朝ごはんの支度をしていました。突然、地面に引き下ろされるような激しい揺れが来て、慌ててガスの火を消し、まだ寝ていた子どもが大丈夫か見に行きました。しばらくして、テレビには、変わり果てた神戸の街の様子が映し出されました。当時、兵庫県に妹一家が住んでおり「これは大変なことになった」と、妹に電話をかけましたが、すでに電話はつながらなくなっており、無事がわかったのはしばらくあととなりました。その時、寝ていた子どもは28年の月日がたち、社会人となりました。でも震災の被害に会い、大切な人をなくしてしまった人たちにとって、大切な人との時間はその時止まったままです。
私たちの住んでいる場所には、かつて様々な災害が起こっており、多くの尊い命が奪われました。経験された方の苦しみや悲しみは、想像を絶するものであり、心底理解をすることは難しいことです。しかし、そうした現実があったことを知り、子どもたちに伝えることは続けなければなりません。「むすぶ」という言葉のように、次の世代に伝えていくこと、そして、子どもたちとともに想像力を働かせ、自分事として考えることを大切にしていきたいと思います。