学校日記

3月19日 卒業式(校長励ましの言葉)

公開日
2025/03/23
更新日
2025/03/23

行事



















(前略)



卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。この6年間、思い起こせば、いろいろなことがあったことでしょう。嬉しかったこと、苦しくて、負けそうになったこともあったかもしれません。この一年間は、最高学年としての重い責任が加わりました。しかし、委員会活動、ペア学年との活動、毎日の通学班指導、運動会、修学旅行、学習発表会などで一人一人が力を十分に発揮しました。気持ちの良い挨拶、思いやりにあふれた行動など、下級生にすばらしい後ろ姿を見せてくれました。



さて、今、社会は目まぐるしく変わり、先の見通しや予測がなかなかつかない時代になっています。AIをはじめ、科学技術が発達するこれからの社会は、10年後、20年後に想像を絶するような進歩を遂げるかもしれません。だからこそ、ますます人と人との関わりが大切になってきます。小学校6年間で関わった仲間や先生方の温かさを忘れず、感謝の気持ちを大切にしてください。新たな時代を生き抜く皆さんには、自分でしっかりと考え判断する力、新しい価値を見つけ出す好奇心、周りの人と認め合い協力する力、そして、困難にも負けないたくましさや人としての本当の強さをもち、何事にも立ち向かっていって欲しいと願っています。



大きなランドセルを背負い、浅井南小学校の校門をくぐった1年生。1年生の3月、コロナ感染症防止のため、突然の臨時休校があり、3か月続きました。2年生6月から学校を再開しましたが、その後の感染症対策をしながらの日々、様々な行動が制限され、感染症対策をしながらの学校生活が3年間続きました。苦しさの中に工夫することで、喜びを見つけた皆さんは貴重な経験をしたと思います。



3年生の時、校長先生と皆さんとの出会いがありました。3年生の教室へ行くと、いつも笑顔でやってきて、楽しいお話をしてくれました。図工の作品で工夫したところなど、自信をもって語ってくれ、こちらまで幸せな気持ちになれたことを懐かしく思います。



4年生での作品展、「ハイッ!チーズ」彫刻刀を生かした、そっくりでリアルな顔作品でした。今の自分の姿が見事に表現され、見ている人たちの心をなごませてくれました。



5年生のキャンプ、コロナが少しおさまってきた中、旭高原で存分活動を行うことができました。中でも、久しぶりに飯盒炊飯を行い、みんなで協力して作ったカレーライス、格別においしかったことを今でも覚えていることでしょう。仲間と築き上げた、2日間のことは生涯、忘れられない思い出となることでしょう。11月に行った、学習発表会では、車いすや手話など、福祉の学習を深く追究し、グループごと見事なプレゼンを行いました。クロームブックを操作しながらの真剣な発表に保護者の方々も子どもたちの成長を実感されたことと思います。



6年生の10月19日の運動会、「走れ全力 届け声援 みんなで楽しむ運動会」。表現活動では、「咲き誇れ 努力と夢の花」をテーマに静と動を意識しながら見事な演技を見せてくれました。準備だけでなく、片付けの時も雨が降る前に片付けるために、仲間と協力して、率先垂範して活動していた6年生の姿は、まさに在校生のお手本とうつりました。たいへん頼もしく感じました。



10月31日、11月1日には修学旅行に行きました。「みつけよう歴史の魅力 深めよう友情と思い出」。京都や奈良の名所について事前に端末を使って十分調べ、一人ひとり目的意識をもった旅行となりました。イヤホンを使い、ガイドさんのお話を真剣に聞き、熱心にメモをとり、まとめました。終了まで歴史について謙虚に学ぶ姿勢、これほどの6年生に出会ったことを嬉しく思いました。やり遂げたあとの達成感は、大きな自信となり、仲間との思い出として心に刻まれたことでしょう。



そんな皆さんに、応援のメッセージを贈ります。「人間万事塞翁が馬」という言葉です。大昔の中国の北の方にある村に、一人の老人が住んでいました。ある日、老人が大切にかわいがっていた自分の馬が逃げていってしまいました。近所の人々は老人を慰めました。でも、その老人は、「今はつらいけど、きっと幸せがくるだろう」と言いました。しばらくたったある日、逃げ出した馬がたくさんの良い馬を連れて老人のもとに帰ってきました。近所の人たちがお祝いをしました。すると、その老人は、「今は嬉しいけど、きっと嫌なことが起こるだろう」と言いました。しばらくすると、老人の息子が馬から落ちて足の骨を折ってしまいました。近所の人々は老人のお見舞いに行きました。でも、その老人は、「今はつらいけど、きっと幸せがくるだろう」と言いました。しばらくすると、戦争が起こり、村の若者は全て戦いに行き、多くの若者が死んでしまいました。しかし、老人の息子は足を負傷していたので、戦いに行かずにすみました。



 長い人生では楽しいことや嬉しいこともあれば、辛いことや悲しいこともあります。しかし、何が幸福で何が不幸かはすぐに決まるものではありません。たいへん辛いことにであっても、自分にできることを一生懸命取り組んでみてください。この老人のように嬉しい時はうかれず、悲しい時には将来必ず幸せが訪れるものと信じて、毎日を明るく元気にすごしてください。「人間万事塞翁が馬」という言葉を思い出してくれたら幸いです。



 皆さんの未来への道のりはまだ始まったばかりです。その道のりは、まだまだ遠く決して平たんな道ではありません。それでも、高く、大きな夢をもって、今できることを一生懸命取り組み、自分の道を切り開いていってください。夢や希望は、未来に向かって前向きに生きようとする心の強い支えです。開校152年を迎えた、令和6年度、この伝統あるこの浅井南小学校の卒業生であることに、自信と誇りをもち、未来に向かって力強い一歩を大きく踏み出してください。先日の6年生を送る会で最後、お話したように浅井南小学校の我々は、いつまでも令和6年度卒業生の皆さんの応援団です。



 最後になりましたが、保護者の皆様、この6年間、本校の教育活動に対して、深いご理解とご協力を賜りましたことに深く感謝申し上げます。これからお子様は人生において最も多感な時期に入ります。保護者としても悩むことも多いかと存じます。そんな時こそ、保護者の皆様の前向きに生きる姿が、必ずやお子様を勇気づけていきます。夢に向かうお子様の姿を温かく見守りください。また、お子様は卒業されますが、今後も引き続き、浅井南小学校をお支えいただけますよう、重ねてお願い申し上げます。さあ、卒業生の皆さん、いよいよ旅立ちの時です。「浅南子、かしこく、やさしく、たくましく」 皆さんが心豊かでたくましい人間となることを祈念し、式辞といたします。